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(前回の続き)

渋谷の金王八幡宮を参拝した後、いよいよ今回の散策の最終目的地である上野に向かいました。

上野駅に到着したあと、東京国立博物館(通称トーハク、1089)に向かう前に、先月オープンしたばかりのJR上野駅横のUENO3153(うえのさいごーさん)に行ってみました。テレビの情報番組で、建物の屋上が西郷隆盛像のある広場に直結していると聞いていたので、エレベータを上がって屋上へ、すると目の前にスッくと立つ西郷さんの雄姿が…。
(下の銅像、白黒モードで撮影してみました)

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西郷隆盛像は、彫刻家の高村光雲の代表作の1つですね。この銅像の制作時、西郷さんの本人が写った写真が残っていなかったため、実弟の西郷従道と従弟の大山巌の特徴を参考に像が造られたものの、完成した像を見た親族が生前の西郷さんと全く似ていないと証言したエピソードは、かなり有名な話しです。西郷さんの真の姿をめぐっては、作家の加治将一さんが大胆な説を展開しています。私も何冊か本を読みましたが、その真偽はともかく、何やら幕末動乱期の背後には大きな陰謀が隠されているようです。

話しが逸れましたが、いよいよトーハクの「出雲展」に向かいました。

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東京国立博物館 出雲展

トーハクには今年5月の「ボストン美術館展」以来の来訪となります。前回は、日本では滅多にお目にかかれない貴重な作品が集まった大企画展でしたので、平日にもかかわらず入館までに1時間以上待たされましたが、今回はスンナリと入れ、周囲の人をかき分けることもなく余裕をもって鑑賞することができました。

展示会場には、出雲大社に近い遺跡から大量に発掘された剣や鉾、銅鐸が数多く展示されていました。どれも保存状態がよく、国宝級の品々が整然と並ぶ様は壮観でした。その他の展示物の中でも特に目を見張ったのが、かつて出雲大社に造営されたとされる高さ50メートル近くの神殿の柱跡=宇豆柱(うずばしら)と、古代神殿の見事な復元模型でした。古代神殿については、実際に模型を目の前にして全貌を眺めると、そのスケール(模型の10倍の大きさ!)と古代の建築技術の高さにつくづく驚きました。天空の神々に少しでも近づきたいという、古人(いにしえびと)の思いが伝わってくるようでした。

実は今回、会場の展示物以上に、出雲旅行をする上で非常に参考になるものを鑑賞することができました。それは展示会場1Fの階段を降りた地下1F、ミュージアムショップのそばの奥まった場所に設置された、簡易映像ブースで流れていた映像でした。展覧会に来た人の中でも、このブースで映像を見ていた人は、かなり少なかった様子でした。

今回の出雲旅行では、絶対に欠かすことができない目的地が3か所あるのですが、そのうちの1つが、境港の近郊に位置する美保神社です。旅行初日、空港に到着してまず一番最初に向かう目的地でもあります。

美保神社

上記のサイトでも紹介されていますが、神社で行われている祭事に「青柴垣神事」「諸手船神事」というのがあります。いずれも、大国主命の国譲りに出てくる事代主命(ことしろぬしのみこと)のエピソードに因む、神話に基づいた非常に珍しい神事です。書籍等を読んで知ってはいたのですが、神事の一連の流れを分かりやすいナレーションも交えて、実際の映像として見たのは初めてでした。この映像は本当に予想外の収穫でした。

そういえば以前読んだ本の中で、長者番付の常連で有名な斎藤一人さんが「旅の面白さは、知識の量に比例する」という言葉を語っていました。一年中、全国各地を巡っている一人さんならではの言葉、私にとってはとても大切な言葉となりました。何も知らなければ通り過ぎてしまうような場所や土地に、本当は宝石のような真実が隠れていたりする…。出雲の地では一体どんな出会いが待っているのか、いよいよ楽しみになってきました。

(前回の続き)

山種美術館での鑑賞を終えた道すがら、午前中の授業を終えて渋谷駅に向かう國學院大学の学生たちの一群に遭遇しました。皆、駅に向かうのに一番近い裏道を歩いていたので、私もその流れに乗って何気なく歩いていると、天地明察と印刷された青地の幟(のぼり)を何本も掲げている神社に偶然、出くわしました。

天地明察といえば、日本独自の暦を作った江戸時代の天文学者の物語で、岡田准一や宮崎あおいが出演している現在公開中の映画だとすぐに分かりました。そこは金王八幡宮という神社でした。ご祭神は応神天皇とのことです。
金王八幡宮


金王八幡宮

天地明察

この映画、少し前に観に行こうかどうか迷い、まだ未見の映画だったのですが、実は、映画公開前の宣伝向けとして放送されたテレビ番組を見ていたので、映画の概要や登場人物などは、うっすら記憶していました。そこで放送されていたシーンの中に、奉納した神社の絵馬に自分が作問した数学の問題を書いて、その絵馬を見た数学自慢の人が回答に挑戦する、という場面があったのですが、この金王八幡宮がその舞台だということを知りました。

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境内の一角にこじんまりとした宝物館があり、その中に実際の絵馬(算額)が展示されていました。
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宝物館の中には算額とは別に、ちょっと興味深いモノが展示されていました。
話しが逸れますが、二週間ほど前に、BS日テレの「ぶらぶら美術博物館」で、東京ミッドタウンのサントリー美術館で開催中の「お伽草子展」が放送されていました。

ぶらぶら美術博物館

そもそも「おとぎばなし」と「御伽草子」の違いって何? というところから説明が始まり、知っているようで知らない数々のエピソードが紹介されていたのですが、その中に酒呑童子の絵巻物語がありました。

酒呑童子は鬼っこで、都の少年少女をさらって人々を怯えさせていたため、天皇の命を受けた源頼光と四天王(四天王の一人である坂田金時が「金太郎」のモデル)たちが童子の屋敷に向かい、酒で酔わせて童子を切り殺した、というのが話しの粗筋です。いろいろ参考になることが多く、忘れないようにノートに書き留めておいたのですが、この神社の宝物館の中に、その酒呑童子の絵馬が展示されていたのです。

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その他にも境内には、松尾芭蕉の句碑があったり、かつてこの地域一帯を治めていた渋谷氏の城跡の石が残されていたりと、見どころ満載の場所でした。偶然に通りかかった神社で、様々な発見が出来たことはラッキーでした。といいつつ、これは本当に偶然なのかな?という気も…。とても興味深い体験でした。

まずは、國學院大学の学生たちに感謝です。
今月末からの山陰旅行の予習を兼ねて、現在、上野の東京国立博物館で開催中の出雲展に行きました。そのついでに、もう一つぜひ見ておきたかった展覧会があったので、まず、上野駅に行く前に渋谷駅に立ち寄り、広尾に向かいました。行き先は山種美術館で開催中の「竹内栖鳳-京都画壇の画家たち」展です。

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山種美術館

今年は竹内栖鳳(たけうちせいほう)の没後70年ということで、回顧展としては実に10年ぶりの開催なのだそうです。多くの美術館で栖鳳の絵を度々観てきたこともあり、10年ぶりというのはあまり実感がないのですが、栖鳳を中心に円山四条派の絵が一同に集まるということになると、これは見逃すわけには行きません。

実は今回、広尾の山種美術館は初めての訪問となります。以前、広尾に移転する前の日本橋にあった頃には、何度か訪れたことがあったのですが。平日の午前中にもかかわらず、予想以上に多くの人で賑わっていました。それだけ人気がある証拠なのですかね…。

栖鳳は、明治以降の京都画壇を牽引してきた中心人物であり、その門下から数多くの日本画家を輩出したことでも知られています。そうえいば展覧会場にあった解説文には、栖鳳のことを「京都画壇の総帥」とまで表現していました。全くの同感です。

今回の展覧会では、初めて見る作品が大半でしたが、その中でも栖鳳の代表作にして重要文化財の「斑猫(はんびょう)」をじっくりと鑑賞することができました。猫のふわふわとした毛の質感といい、瞳の青々とした色彩といい、絵から醸し出される雰囲気というのは、やはり現物を観るに限るな、とつくづく痛感しました。

ちなみに「斑猫」のモデルとなった猫、栖鳳が静岡の沼津を訪れた際に、八百屋で飼われていた猫を気に入り、自分の絵と交換して飼い主から譲り受けて京都に連れてきた、というエピソードが紹介されていました。沼津の隣町、三島に永いこと住んでいた私としては、思いがけず親近感を覚えてしまいました。港町に住んでいた猫、さぞかし新鮮で美味しい魚を食べていたことでしょう…。

今回の展覧会を見たあと、ふと、まだ独身だった十数年前、京都に一人旅に行った際、嵐山にある栖鳳の別荘跡に造られた竹内栖鳳記念館を訪れたことを思い出しました。確か、事前に電話予約しないと入館できない敷居の高い美術館で、実際に行ってみると、その施設の立派さに驚きました。私が訪問した時には(今日のような展覧会と違って)自分1人しか入場者がおらず、警備員の人から注がれる視線を常に背後に感じながら、館内を巡りました。美術館を出ると、手入れの行き届いた素晴らしい日本庭園と邸宅があり、そこでひと休みした記憶があります。

そんな栖鳳記念館、現在の様子はどうなっているのだろうと思い、帰宅後にネットで調べたところ衝撃の事実が…。何やら、美術館を所有していた企業が倒産した関係で、2003年、別会社に施設と栖鳳の作品が譲渡されたものの、以後、施設は非公開となってしまったそうです!もう10年以上前の話しのようですが、今の今まで不覚にも全く知りませんでした…。

そう考えると十数年前、栖鳳の作品を静かな空間の中、一人でじっくりと堪能できたことは幸運だったのかもしれません。

ちなみに当時の美術館は今、“天使の里”になっています。栖鳳は今、どんな気持ちなのでしょうか。

ボークス天使の里
突然ですが、今月末に3泊4日の予定で山陰地方に旅行に行ってきます。名所旧跡、神社参拝を中心に巡ってくる予定です。

ちょうどタイミングよく、つい先日、BS・TBSで「古代ロマン歴史の源流・出雲」という番組が放送されていたので、しっかり録画して旅行の予習として観ました。女優の原史奈と島根出身の佐野史郎が案内役で、出雲各地の神社を巡るという内容で、誰もが知ってる出雲大社のほか、ふつうの旅番組では紹介されることのなさそうな場所、黄泉比良坂(よもつひらさか)、猪目洞窟、韓竈(からかま)神社など、動く映像として初めて見る場所も多く、とても興味深かったです。

今年は古事記編纂1300年ということで、日本神話や出雲大社がマスメディアに取り上げられることが多く、関連番組もいろいろとチェックして見てきました。ただ、今まで見てきた番組と違って、今回のこの番組で一番印象深かった…というか衝撃を受けたことがありました。それは、実は神社ではなく、古事記のエピソードを語るナレーションの場面に登場した、ある洋画家の方が描かれた美しい絵の数々でした。非常に静謐な印象の絵もあれば、百花繚乱の超極彩色の絵もあり、ひと目見て心を奪われました。

私にとって古事記の神話を題材とした有名な絵というと、やはり「青木繁」の作品が真っ先に思い浮かびます。昨年、東京のブリヂストン美術館で没後100年の回顧展があり観に行ってきましたが、展示されていた素晴らしい作品群を見るにつけ、他の画家には感じられない青木独自の世界観、洋画家でありながら日本古来からの普遍的な題材に拘り続けた姿勢、というものをヒシヒシと感じました。

青木繁展

今回、テレビの画面上ではあるものの、青木繁の神話画に遭った時と同じような感覚を覚えました。
その絵の作者は、洋画家の小灘一紀(こなだいっき)という方でした。

さっそくネットで検索したところ、日展の評議員を務められる大変著名な画家で、また山陰の境港出身ということもあって、古事記の神話に魅かれて作品を描き続けているそうです。今月末に行く山陰旅行で見学予定の松江市歴史館で、今年7月に小灘さんの展覧会があったようです。もっと早く知りたかった…。

小灘一紀絵画展

何やら、東京都内でも展覧会が開かれるとの情報もあるようなので、もし開催されるようであれば是非、足を運びたいと思っています。

みなさん、こんにちは。私、サトセイと申します。

今日からブログを始めることになりました。これまで、日記をつける習慣もなかった私ですが、周囲の人たちから「ブログを始めてみてはどうですか…」との声があって、何はともあれやってみよう!という事になりました。

これから追々、書き進めていくつもりですが、主に散歩や旅行、美術・歴史・建築、神社仏閣巡り、それに謎学(?)等々が自分の興味・関心のあるジャンルとなりますので、このあたりの話題が中心になるかと思います。

三日坊主に終わらないよう、できるだけ長く続けて、皆さんに何かしら役に立つことがお伝えできればな…と考えてます。