今回の山陰旅行では、印象に残る名所や土地を数多く訪れることができ、自身の見聞を広める意味でも有意義なものでした。この旅の見聞録を締めくくるに当たって何を書こうか、と考えたのですが、極私的な体験談をお話ししようと思います。これまでの記事とは、かなり毛色が違いますのでご容赦を…。

シンクロニシティという言葉はご存知でしょうか?

「意味のある偶然の一致」「共時性」と言われます。因果関係のない複数の事象が、同時に(連続して)起きる現象です。ある人のことをふと思い出したら、その人からすぐに電話が掛かってきた、というのはシンクロニシティの典型ですね。

“謎学”に関心のある私としては、シンクロニシティの発生について興味があります。「共時性」という言葉自体、心理学者カール・G・ユングがつくった言葉(synchronicity)ですので、心理学の範疇に入るテーマといった方が的確かもしれません。

私自身、何か霊感のような特殊な力を持っている訳ではありませんが、シンクロニシティに関しては誰もが身をもって体感できる現象でもあり、以前から関連する書籍を読んでみたり、自分が体験した事例をメモしていたりしました。

旅先では何が起こるか分かりません。今回の旅行中、はからずもシンクロニシティが次々と頻発したので、ブログに書き留めておこうと思った次第です。どうかお付き合いください。

その① 
旅行2日目、JR淀江駅から「伯耆の丘公園」まで、一面に田園が広がる風景の中、ひたすら真っ直ぐな道を歩いている最中、何気なく前日に訪れた東光園の温泉のことを思い出しました。庭園にある露天風呂も風情があって良かったのですが、何といっても印象に残ったのが大浴場で、お湯の良さもさることながら、その壁面が朱色に塗られ、見たこともない巨木が梁に使われていて、その奇抜さ・スケールの大きさに驚かされました。

東光園 温泉

入浴後、ホテル館内を見学した際、ホテルの歴史や資料・美術作品を展示しているコーナーがあり、そこに大浴場の模型が展示してありました。

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そこには解説があり「設計は世界を代表する彫刻家である流政之(ながれまさゆき)氏の手によるもので、米国産の太い松とインド砂岩の壁など、彫刻家としての大胆な発想を取り入れた、大変おもしろい設計となっております。」と書いてありました。確かに、芸術家のようなセンスの持ち主でなければ、あのような大胆なデザインは思いつかないな…と感心しきりでした。

そんな前日に入浴した大浴場のことを思い出しながら、公園に向かう道を歩いていた時、彫刻家の流政之のことを色々と思い出してきました。数年前に偶然、テレビの番組で流政之のことを知ったのですが、香川県の庵治町を活動拠点として、そこにあるスタジオでの製作風景が紹介されていました。スタジオと言っても、そこは見まごうばかりの美術館のようなで、これは是非、観に行きたい!と思ったのですが、今もそこで作品を製作されているので非公開とのことでした。

流政之

庵治といえば「庵治石」、彫刻の材料として良質な石質として有名です。庵治に因む彫刻家といえば、もしかすると流政之よりも、イサムノグチの方が有名かもしれません。こちらも世界的な彫刻家ですね。私の妻の母親が香川県の出身ということもあり、結婚後、法事などで香川に行く機会が増えました。そんなこともあって2年前の夏、「イサムノグチ庭園美術館」を妻と義母の三人で観に行きました。木々の緑の中に石造りの彫刻作品が映え、夏の思い出の1ページとなった記憶があります。

イサムノグチ庭園美術館

そんなこんなで、流政之やイサムノグチの過去の思い出を振り返りながらしばらく歩いていると、道案内の看板が見え、公園に向かう曲がり角にさしかかった時、そこに何やら立派な石碑が立っていました。碑文を見てみると、この辺り(淀江)の土地田畑の開発を記念する石碑のようでした。

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特に歴史的な遺物でもなかったなので、早く公園に向かおうと思ったその瞬間、その石碑の横に立つ一本の黒色の石柱に目が止まりました。そこには「碑石 四国香川県産 庵治石」と刻まれていました。全く予期しなかった遭遇に、しばし呆然としてしまいました。

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その②
当日の夕方、足立美術館を見学し終えて、美術館のすぐそばにある温泉旅館「さぎの湯荘」に入りました。部屋に通されると、予想以上に広くて綺麗な和室が用意されていました。窓から見える日本庭園は手入れが行き届いていて、先ほどまでいた美術館の庭園の続きを体験しているようでした。

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部屋の中の様子を見ていたところ、テレビの横に本立てがあり、暇つぶし用に何冊かの本が置かれていました。

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どんな類の本が置かれているかで、その旅館やホテルのセンスが何となく分かります。「MCエッシャー」「京町屋拝見」「白洲次郎と白洲正子」「邪馬台国へ詣でる道」…どの本も、私の興味のある分野ですが、一冊、気になる本がありました。「図説 日本の昔話」です。もしや…と思いページをめくって行くとやはり載っていました、「酒呑童子」の物語が…。

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先日のブログで、渋谷で偶然に立ち寄った金王八幡宮で、たまたま「酒呑童子」の絵馬を見つけたエピソードを紹介したかと思います。それから数日もたたないうちに、旅先の宿の部屋で、「酒呑童子」の物語に再び遭遇するとは…。旅館の部屋数は20近くありますが、すべての部屋に同じ本が揃えられているとはとても思えません。この宿、この部屋に泊まることは、必然だったのかもしれません。


その③
旅行最終日の朝、起きてすぐに部屋のテレビをつけ、身支度をした後、前日夜にホテルの近くのコンビニで買った菓子パンを食べました。買った時には意識して商品名を見ていなかったのですが、袋を見ると「バームクーヘン風パン」とありました。

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何だか変なネーミングだな…と思っていると、どうも言いにくい、発音しにくい名前のような気がしました。恥ずかしい話しですが、独り言のように早口言葉で「バームクーヘンフーパン、バームクーヘンフーパン、バームクーヘンフーパン」と3回繰り返し言ってみました。やはり最後の方になると上手く言えませんでした。

そんな他愛もないことをしていると、多分1分も経たないうちに、テレビの画面に現れた女性がいきなり早口言葉を言い出しました。朝起きてテレビをつけた時には、全くチャンネルのことは気にしていなかったのですが、それはNHK・Eテレの子供向け番組「にほんごであそぼ」の1コーナーで、何やら古めかしい日本語のくだりを早口言葉で3回、発音するというものでした。(後日、改めてその番組を自宅で見たところ、そのコーナーは「街角早口瓦版」という事が分かりました)。


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以上、香川県の庵治、昔話の酒呑童子、早口言葉、どのエピソードも他人から見ればただの偶然、他愛のない話しばかりかと思いますが、こうしたシンクロニシティの発生は、その時の自分自身の意識や考え方が正しい流れに乗っている(“フロー”に乗っている)という状況を身をもって実感できる瞬間といえます。

シンクロニシティーは、心に余裕がある時、リラックスしている時、頭が空っぽでボーッとしている時等に起こりやすい現象です。それに「ひらめき」「直感」が、とても大事なファクターとなります。旅行の初日から最終日まで毎日が楽しく、ワクワクし通しでしたので、こうした現象が起こりやすい状況だったのかもしれません。今回の旅行も、自分の意志だけではなく、色々な導きがあってこそ彼の地を訪れる機会に恵まれ、多くの事を知ったり感じたりすることができた…、そんな気がします。

以上、山陰旅行見聞録でした。
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