先月(10/21)のブログでご紹介した小灘一紀さんの東京での展覧会、日本橋の高島屋で開催されるとの情報を聞きつけ、先日、「古事記編纂1300年記念 小灘一紀展」に行ってきました。高島屋内の画廊での個展ということで、少々、緊張しながら入場しました…。

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小作から大作まで、30点ほどの作品が展示してありましたが、やはり目を引いたのは古事記の神話を題材とした作品の数々です。イザナギとイザナミの国生みの場面、有名な天岩戸開きの場面など、古事記を読んだり勉強した人であれば、どれも馴染みのあるシーンや神々が描かれています。先日のテレビ番組で放送されていた作品もいくつか展示されてましたが、やはり実物の絵が持つ迫力は違います。

今回は画廊での個展でしたので、(当然ながら)全ての作品に価格が表示されていました。普段、画廊に足を運ぶような機会がほとんどないため、どうしても作品のお値段に目が向かってしまいます。やはり、作品相応のお値段で、私にはとても手が出るような金額ではありませんでした…。

当日、会場には小灘先生ご本人と奥様がいらっしゃいました。先生は日展の評議員ということもあって、その方面の関係者の方が何人かお見えになっていて、今後の展覧会の話しや海外出張に行かれる話しなど、会話の内容が自然と耳に入ってきました。一般の美術館とは違って、やはりこうした画廊は、自分とは全然違う世界の人たちが交流する場なのだな…、と漠然と思いながら作品を見ていると、いきなり小灘先生が私に声をかけてくれました。

この個展に来た経緯(山陰旅行に行く前に偶然見たテレビ番組で先生の作品を知ったこと)や、先日の山陰旅行で多く神社をお参りしたこと、先生の故郷の境港を訪問したことなどを話したところ、おもむろに会場の中央に置かれた立派なソファに案内され、恐縮にも、お茶まで出していただくことになりました。

たまたま、来訪者の方がそれほどいなかったタイミングもあって、その後、先生ご本人、それから奥様と、20分ほどお話しをする機会に恵まれました。作品の横に展示されている解説文(古事記のエピソード等)は、奥様が全て書かれているそうで、そうした関係もあって奥様は日本の神話や歴史について造詣が深く、色々と興味深いお話しをしてくれました。出雲大社の宮司を担当する家系(千家家と北島家の関係)を巡る話し、ジョン・レノンと神道とのつながり、世界各地の神話に見られる共通性、「秀真伝(ホツマツタエ)」と古代文字ホツマ文字の特徴、大神(オオミワ)神社の大田田根子(オオタタネコ)の血筋を引く方が大阪にいるらしい、等々、短い時間に次から次へと様々な話題が出てきて、本当に興味が尽きませんでした。

帰り際に先生から、小作品集と絵ハガキのセットを頂きました。思いがけないプレゼントでした。

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また、先生が絵画を描くに当っての信念や信条を箇条書きにまとめた「私の神話絵画観について」というプリントを、一緒にいただきました。先生は現在、大阪芸術大学客員教授ですので、大学の授業でも、こうした理念を学生たちに伝えているのだと思います。この絵画観の中には、示唆に富んだ言葉やメッセージが数多くあり、絵画作品以上に胸を打たれるものがありました。そのうちのいくつかを、皆さんにも紹介したいと思います。

私は現代流行の自己中心の絵画表現より、中世絵画のように何かの価値のために生きる美術表現に惹かれる。古代・中世絵画の芸術家は神に近づくために芸術作品を作った。署名なしの無名の美術家達の作品である。ロボットのような楽をする機械を用いることなく、自らの手と頭で表現してきたことに感動する。

教育によって個性・創造性ある人間を育てることはできない。民族の持つ文化・歴史を学び民族の魂を身につけることで個性的表現は可能となる。教育はまず、民族の歴史を学習することから始まる。美術教育も同じだ。

20世紀は西洋美術の流れに沿って、日本美術界は活動してきたが、それは限界にきている。日本には日本の思想があり、日本の優れた美術文化を見直す時期に来ている。

今回は、先生ご夫婦とお話しをする機会に恵まれ、本当に幸運でした。来年(2013年)、式年遷宮に合わせて伊勢神宮の近くで先生の個展が開かれる予定だそうです。機会があれば、また改めて先生の作品を観に行けたらな…と思っています。
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