八芳園を後にして次に向かったのは、下り坂を歩いて数分の場所にある明治学院大学です。

明治学院大学

私は生まれてから大学卒業まで東京の下町エリアで暮らしていたのですが、セレブな街、白金台に来る機会が殆どなかった上に、自分の学生時代や社会人時代を通して、知り合いや友人の中に明治学院大の出身者が1人もいなかったこともあり、私にとっては何故か縁遠い大学でした。とはいえ、この大学には以前から一度、実際に訪れて観てみたい建物がありました。それは大学構内に残る礼拝堂です。

私は学生時代から、明治期以降に建てられた近代建築を観るのが好きで、これまで各地で様々な建物を見てきました。そうした日本に残る近代建造を設計した建築家の中でも、特に私が好きな人物の1人にウィリアム・メレル・ヴォーリズがいます。彼が設計した作品の1つが、明治学院大の礼拝堂です。その名前は知らなくても、彼が設計に関わった日本各地に残る数々の建造物を見れば、「ああ、あの建物がそうなのか…」と思う方がほとんどかと思います。

ウィリアム・メレル・ヴォーリズ(wikipedia)
財団法人近江兄弟社(ヴォーリズ記念館)

ヴォーリズ、一柳米来留(ひとつやなぎめれる)の建築に関しては、個人的に色々な思い出があります。今から20年以上前、御茶ノ水の山の上ホテルで大学卒業時の謝恩会が開かれ、その時に初めて、ヴォーリズの設計によるこの建物を訪れました。当時から憧れの存在で、学生身分で行くのは何ともおこがまし、格式のあるホテルという印象でした。アールデコ調の外観もさることながら、クラシックな雰囲気の館内で仲間や先生たちと最後の時間を過ごせたことは、今でも良い思い出です。

山の上ホテル

それから数年後、会社の夏季休暇を利用して、琵琶湖周辺各地を一人旅した際、近江八幡に残る昔からの商家巡りと合わせて、ヴォーリズの建物を見学しました。当時はまだインターネットもなく、書店で購入した近代建築の関連本を頼りに、近江兄弟社学園を初め、あちこちと道に迷いながら建物を見て廻りました。当時のことを思い出すと、今は本当に便利な時代になりました…。

近江八幡市内のヴォーリズ建築マップ

それから今から10年近く前、滋賀県の豊郷小学校の校舎存続をめぐって、その歴史的価値から、保存修理派と解体推進派との間で住民間の紛争が起こり、ニュースで頻繁に取り上げられたのを記憶している人もいるかと思います。当時は私も、やきもきしながら状況の推移を見ていましたが、あの校舎を設計した人物がヴォーリズでした。

旧豊郷小学校(滋賀県HP)

(前段がかなり長くなっていまいましたが)そんな思い出の深いヴォーリズが設計した建物を目指して、いよいよ明治学院大の構内へ。

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美しい並木道の先に、煉瓦造りの外壁を持つゴシック風のチャペルが見えてきました。近江八幡を初めとして主に関西、西日本を中心に活躍したヴォーリズですが、東京で初めて手掛けた作品が、この礼拝堂だったそうです。1916年の竣工で、急こう配のスレート葺きの屋根と縦長の窓が連なる外観、それに空へと伸びる尖塔が特徴的な建物です。明治学院大を象徴する、まさにシンボル的な存在となっています。

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ヴォーリズの建築とは別に明治学院大の構内には、礼拝堂に向き合う形で、2つの歴史的な建造物が保存活用されています。白色の下見板張りのインブリー館、そして、その隣に建つ赤レンガが特徴的な明治学院大学記念館です。いずれも、ヴォーリズの礼拝堂より以前に造られたものだそうです。

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記念館の中は資料展示室になっていて、館内2Fには大学のミニチュアが展示されていました。上述した3件の建物の位置がよくわかるアングルで、写真を撮ってみました。

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建物の見学をひと通りした後、大学の構内を散策すると、学院創設者であるヘボン氏の胸像がありました。

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一方、ヴォーリズについては、大学構内にある広場にその名前を残しています。下の写真の建物前に広がる場所が、ヴォーリズ広場だそうです。

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余談ですが、前回のブログでも書きましたが当日、八芳園のレストランが大混雑でランチが出来なかったので、今回、大学構内の学食にお邪魔してカツカレーを注文しました。とてもオシャレな雰囲気の学食で、味も値段も満足でした。

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今回、初めての明治学院大の訪問となりましたが、ヴォーリズの設計による建物で、まだ実際に観たことのないものが関西を中心に沢山あります。訪れたい場所が多くて本当に困りますが、まだ見ぬものに出会いたいという欲求こそが、次の旅へと駆り立てる原動力となっています。

(続く)
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