先週末、東京国立近代美術館(MOMAT)の「美術にぶるっ!ベストセレクション 日本近代美術の100年」展に行ってきました。

美術にぶるっ!
DSCF6985_convert_20130117002751.jpg

DSCF6986_convert_20130117002813.jpg

今回は開館60周年記念、所蔵する重要文化財13点を含む名作の数々を一堂に公開する展覧会ということもあり、約1年半ぶりに皇居のお濠沿い、竹橋に向かいました。会期終了日の数日前の訪問だったため、かなり混雑しているかも…と心配していたのですが、それほどの人出でなく一安心、館内ではどの作品も間近でじっくり鑑賞することができました。ちなみに、いつものように「ぶらぶら美術・博物館」を観て、事前に作品の予習をして行きました。

ぶらぶら美術・博物館

これまで企画展や常設展などを通じて、近代美術館所蔵の大抵の作品は何かしらの機会に見た憶えがあるのですが、全くの初見の作品も幾つかありました。また今回の展覧会では、写真撮影が可能な作品も数多くありました。過去の記憶を振り返るに、私が近代美術館を初めて訪問したのは20年以上前、古賀春江の展覧会を観に行ったのがきっかけでした。今回も、古賀の代表作「」が展示されていました。

DSCF7014_convert_20130117002943.jpg

今回の展覧会では、美術や歴史の教科書などに載っている、誰もが一度は見たことのある有名な作品が多数、展示されているのですが、私自身としては、教科書とは別なモノを通じて、数々の作品に触れる機会がありました。私のように40歳代以上の男性であれば、子どもの頃に切手収集を趣味にしていた人も多かったと思います。発売された記念切手の多くに、日本近代の美術作品が取り上げられていたこともあって、切手を通じて、有名な作品と画家たちの名前を、小学・中学生の頃から目にしていた記憶があります。狩野芳崖、速水御舟、安井曽太郎、黒田清輝、青木繁、上村松園、竹内栖鳳、菱田春草、荻原守衛、万鉄五郎などなど…。今から考えると、何とも大人じみた子供でした。

今回の展覧会で特に印象に残った作品を、順不同で3点ほど挙げてみたいと思います。

和田三造「南風」
日本初の官展(第一回文部省美術展覧会)で最高賞を受賞した作品です。和田本人が19歳の時、伊豆の沖合で経験した遭難をモチーフに描かれているそうです。洋上の眩しい陽射し、中央に立ち海風を受ける青年の体躯、そして和田とおぼしき少年の不安げな表情などがドラマチックに描かれており、何とも臨場感に溢れた絵画と言えます。
和田三造というと、私は青木繁を思い出してしまいます。東京美術学校時代、青木がその実力を認めていた数少ない同級生の1人が和田だったそうです。和田は日本洋画壇の重鎮になった一方、青木は放浪の末、28歳の若さで病死。2人の洋画家が辿った対照的な人生、こちらも何ともドラマチックです。

DSCF7004_convert_20130117002922.jpg

靉光「眼のある風景」
靉光(あいみつ)こと靉川光郎(あいかわみつろう)の作品です。「ぶらぶら美術・博物館」でこの作品が紹介されていたのを見て、直感的に惹き付けられました。何とも表現し難い雲のような塊の奥から、鋭い眼光が観る者を睨みつけています。シュールレアリズムの影響を受けた、謎に満ちた画風です。展示されていた実物の作品も、やはり圧倒的な迫力があり、これこそ感覚的に「ぶるっ!」と来る作品でした。
昭和初期の洋画家、38歳で戦地で病死し、出身地の広島にあった作品は原爆で消失、今に残る作品は多くないそうです。惜しまれる画家の1人です。

DSCF7017_convert_20130117003009.jpg

横山大観「生々流転」
昨年11月に書いた山陰旅行の記事で、足立美術館で横山大観の大作に感動した話しを書きました。溢れんばかりの色彩豊かな超大作でしたが、今回展示されていた「生々流転」は、それとは対極にある、墨の濃淡だけで自然の流れを表現した、まさに「幽玄の世界」といった風情の超大作でした。昨年、NHK・Eテレで放送されていた「日曜美術館」で、横山大観がこの作品に並々ならぬ思いを投入したエピソードが紹介されていました。匠たちの技なくしては、この作品は生まれなかったことでしょう。大観が心血を注いで完成させた代表作、まさに圧巻の一大絵巻物でした。

横山大観「生々流転」
日曜美術館 横山大観を支えた匠たち

DSCF7002_convert_20130117002903.jpg

ちなみに今回の展覧会では、開催前に展示作品の人気投票が行われたそうで、洋画・日本画など各ジャンルごとに順位結果が発表されています。私のセレクトは、大きくは外れていない様でした。靉光の洋画第5位は正直、ビックリでした…。

作品人気投票

今回の展覧会に併せて、美術館の館内のレイアウトもリニューアルされました。4Fにあった休憩室も「眺めのよい部屋」という名前になっていました。ここは、広い窓から皇居のお濠や高層ビル群を見渡せるベストスポットです。

DSCF6988_convert_20130117002838.jpg

今回の企画展は、日本の近代美術を代表する作品がズラリと並んだ、まさに4番打者揃いの展覧会でした。
コメント
コメントの投稿
トラックバック URL
トラックバック