先日、妻と一緒に新宿に買い物に出かけました。新宿へは久しぶりの訪問となります。まず最初に南口の高島屋に行って昼食、広い店内をひと通り回ったあと、伊勢丹に向かいました。高島屋とは違い、アール・デコ様式を基調としたクラシックな外観を保つ伊勢丹の建物は、やはり風格が違います。

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そんな伊勢丹の中に、実は以前から気になっていた場所がありました。
そこは屋上フロアです。

デパートや百貨店の屋上は大抵、どこも見晴らしが良く開放的な空間が広がっていて、かなり穴場的な場所と言えます。私自身、新宿伊勢丹には何度も来たことがあったのですが、屋上に上がったことは一度もありませんでした。何やら、その屋上には神社が祀られているとの情報も聞いていたので、「これはお参りするしかない…」ということで、買い物も早々に切り上げてエレベータで屋上に向かいました。

緑の芝生や散策道が整備された開放的なスペースが広がり、新宿の高層ビルもハッキリと見渡せる眺めの良い屋上でした。ただ、数日前に都心に降った雪がまだかなり残っていて、職員らしき人たちが、せっせと雪掻きをしていました。本当にご苦労様です…。戸外はまだまだ寒く、屋上を散策する買い物客はごくわずかでした。

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広い屋上の片隅に、木々で覆われた小さな日本庭園風の一画があります。まず目に入って来るのは、台座の上に据えられた和服姿の男性の胸像です。

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そばに寄って見てみると「店祖 小菅丹治翁像」とありました。たしか伊勢丹の社名は、創業者の名前に因んでいた…という事は、うっすらと記憶してたのですが今回、改めてその名前を知りました。“店祖”という表現も老舗ならではといった感じです。

丹治翁の胸像から少し離れた所に、小さな祠が建っています。朝日弁財天です。

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弁財天の由来を記した立て看板によると、かつて神田にあった伊勢丹が現在の新宿の場所に移転する際、ある僧侶が、市ヶ谷にあった霊験あらたかな朝日弁財天を伊勢丹の守護神として祀るよう勧められ、昭和8年の新宿進出とともに本館の屋上に祀られたそうで、また火伏の神様、商売の神様とも言われているそうです。今回、弁財天様にしっかりとお参りさせて頂きました。丹治翁にあやかりたいものです…。

屋上をひと通り見て廻ったあと、昇ってきたエレベーターは使わず、そこから少し離れた場所にある階段を使って7階に下りようと思い、階段の踊り場に向かったところ、とても立派なステンドグラスが、いきなり目に飛び込んできました

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美しい花々やトンボの意匠が施された、装飾性の高いデザインのステンドグラスが、階段の上の壁一面に広がっていました。見るからにレトロな雰囲気が漂う年代物です。多くの買い物客の眼に触れることがなさそうな館内の一画に、こんな素敵な代物(しろもの)が残っているとは…、何とも勿体ない気がしました。

帰宅後、改めて新宿伊勢丹の歴史をネットで色々と調べていたところ、この美しいステンドグラスの作者が
小川三知(さんち)という人物だと知りました。以前にどこかで聞き覚えのある名前だったので、改めて調べてみてみました。

小川三知(wikipedia)

彼の代表作の数々を見て、よくやく思い出しました。この「サトセイのブログ」を開始する以前、昨年の4月に文京区音羽の鳩山会館を訪れる機会がありました。綺麗に保存された西洋館の内部に、美しいステンドグラスが随所に施されていて、とても印象深かった記憶があります。その作者が、小川三知だったのです。

鳩山会館
その時に撮影した写真がこちらです。

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もしかすると、私が今までに訪れた近代建築の中で、他に小川三知の作品が残っている場所がないかどうか、ネット上でさらに詳しく調べてみたところ、鎌倉鶴岡八幡宮内の「鎌倉国宝館」に、彼の作品が現存することがわかりました。

鎌倉国宝館

こちらも昨年8月、妻と一緒に参詣しに行ったばかりで、国宝館にも入館しました。ステンドグラスを見た記憶が定かではなかったので、その時に撮った写真を改めて確認してみたところ……見つけました。国宝館の入口の扉に、星と三日月をモチーフにした作品がありました。

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今回、伊勢丹の屋上を訪れたことで、何とも予期しない展開が色々とありました。これはもしかすると朝日弁財天のお蔭なのかも…。上野の国立科学博物館に、三知の大作が現存しているそうなので、今度上野に行く折には是非、実物を見に行きたいと思います。
コメント
はじめまして。
足跡から訪問致しました。

鳩山会館の2番目のお写真のステンドグラスを
実際に見てみたいです。
そして一番最後の月のステンドグラスも。

小川三知さんという方なのですね。
リンクも貼り付けてくださっていたので、
とても有益な情報でした。ありがとうございます。


Re: はじめまして。
> 足跡から訪問致しました。
>
> 鳩山会館の2番目のお写真のステンドグラスを
> 実際に見てみたいです。
> そして一番最後の月のステンドグラスも。
>
> 小川三知さんという方なのですね。
> リンクも貼り付けてくださっていたので、
> とても有益な情報でした。ありがとうございます。


コメントありがとうございます。お役に立てて嬉しい限りです。
私も今度、上野の科学博物館にある三知の作品を見に行きたいと思っています。
上野公園の周辺は本当に奥が深く、行くたびに新しい発見がありますね。
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