先日、世田谷の五島美術館で開催中の「時代の美/第3部 桃山・江戸編」展に行ってきました。昨年秋までリニューアル工事をしていたこともあり、かなり久しぶりの訪問となりました。すでに昨年秋から、第1部(奈良・平安編)、第2部(鎌倉・室町編)が開かれていたのですが、中世以前の作品はやや馴染が薄いこともあってパスしたのですが、今回、第3部の桃山・江戸期は、興味のある作品が数多く展示されていることもあって、閑静な住宅街が広がる上野毛に足を運んできました。

五島美術館

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当日は「琳派の造形」というテーマの講演会にも参加してきました。琳派については、本当に基礎的な知識しかなかったのですが、琳派に関連する人物たちの系統を年代順に分かりやすく解説してくれたり、「琳派」という名称が実はかなり新しい時代(昭和40年代)に定着した呼称であるなど、参考になる話しが盛り沢山でした。

江戸の代表的な陶工として尾形乾山が有名ですが、「乾山」とは本名ではなく“ブランド名”だったそうで、京都の北西の方角(=乾:いぬい)の山に窯を開いて作陶したことから「乾山」という号を名乗ったということも、今回の講演で初めて知りました。

ちなみに講演の冒頭、五島美術館の成り立ちについても解説があったのですが、創立者の五島慶太(東急電鉄の経営者)は、美術館が開館する前年に亡くなっていたとのこと。さぞかし心残りだったことでしょう…。

今回の展示作品は、上記のサイトに詳細が掲載されていますが、絵画ではやはり、俵屋宗達や尾形光琳など装飾性に富んだ作品に惹かれました。また、織田信長・豊臣秀吉・明智光秀・千利休など、戦国史上の超大物の書状がズラリと展示されていました。他の私設の美術館では、そうそうお目に掛かれない光景です。私の好きな戦国武将、加藤清正の肖像画にも会うことができました。

以前の記事でも書いたように、「へうげもの」を見るようになって以降、茶の歴史や茶器(焼き物)に興味を持つようになったこともあり、今回の展覧会では茶器や焼き物について、じっくり時間を掛けて鑑賞してきました。その中でも特に、多くの樂茶碗(らくじゃわん)の名品を、実際に間近で鑑賞できたのは貴重な経験でした。

今年の初め、NHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」という番組で、第15代の樂吉左衛門(らくきちざえもん)さんが取り上げられていました。今年に入ってから私が見たテレビ番組の中で、クオリティーの高さでは断トツの内容でした

プロフェッショナル 仕事の流儀

その番組で見聞した知識の確認も兼ねて、今回の展覧会では、長次郎・常慶・道入や光悦など、桃山から江戸初期の樂茶碗の数々を鑑賞してきました。私自身、今まで樂焼に関する知識と言えば、京都の焼き物の一つで、千利休と関係があった歴史のある焼き物、という程度の認識しかなかったのですが、今回の番組で、樂焼の歴史、400年続く樂家の家系、現在活躍する樂吉左衛門さんの人物像など、その一端を垣間見ることができました。

吉左衛門さんは東京藝術大学で彫刻を学び、ローマにも留学した経験があるそうで、私が想像していたイメージ(=いわゆる昔ながらの職人肌の人)とあまりにギャップがありすぎて、正直、驚いてしまいました。

自らの作品に対して、土が本来持っている「自然の美」を追及するか、自分の思いを形として表現する「作意の美」を追及するか、その間を行きつ戻りつしているという、という吉左衛門さんの言葉が、何とも印象的でした。還暦を超えた今なお、挑戦的に作品を造り続ける姿勢には、本当に感服してしまいました。

そんなこんなで、今回の五島美術館の展覧会は、事前に見た番組や講演会なども手伝って、収穫の多い展覧会でした。ちなみに美術館のミュージアムショップでは、パンフレットの他にも、茶の湯の歴史や茶器に関する書籍が充実していたので、思わず数冊、購入してきました。まだまだ学びたいことが沢山あります。

今年の3月には美術館内の庭園の工事が終了するそうなので、春になったら、新しい庭園の散策も兼ねて再訪したいと思います。まだ未定ですが今後、京都に旅行へ行く機会があったら樂美術館にも是非、立ち寄ってみたいと思います。

樂美術館
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